2015年1月30日金曜日

1月24日 ミツバ

和食の名脇役ミツバ(三つ葉)

ミツバ
Cryptotaenia canadensis subsp. japonica
セリ科ミツバ属の多年草
原産地:日本を含む東アジア  山地の日陰に自生

 日本が原産地の数少ない「野菜」のひとつです。ちなみに野菜の「原産地」には、本当の原種が自生している「一次原産地」と、その野菜が品種として確立した「二次原産地」という考え方もあるようですが、ミツバの場合は日本が一次原産地のひとつというわけです。他の例で言うと、コマツナの一次原産地は「地中海沿岸地方」で、二次原産地は江戸時代に東京で品種として成立したと言われるので「日本」となるわけです。

 さて、ミツバに話を戻しましょう。
 流通形態は三種類。スポンジなどに種をまいて水耕栽培される「糸三つ葉」、土に種まきをして根ごと出荷される「根三つ葉」、土に種まきして軟白栽培し、刈り取って出荷される「切三つ葉」。今は多くが「糸三つ葉」として出荷されていますね。
 なんか、栄養無さそうな感じですが、意外とβ-カロテンなどの含有量が多い、健康野菜です。また、多年草なので、使った後にスポンジに残った根っこを土に植えておくと、うまくすると定着して、毎年「切三つ葉」が楽しめます(笑)
 写真は私が住んでいる団地の北側に知らないうちに自生?していたミツバ。
 極端に日陰に強いので、北側のベランダなどで育てるのには最適なハーブです!








2015年1月28日水曜日

1月24日 剪定瘤のこと

 樹種にもよるのですが、樹木の枝を毎年同じ位置まで切り戻していると、その部分が硬く瘤状に膨らむことがあります。これを「剪定瘤」(せんていこぶ)と呼びます。
 一番典型的で良く見かけるのは、サルスベリの剪定瘤。サルスベリは当年春から伸びた「当年枝」に花芽を形成し、剪定にも強いため、毎年同じ場所で秋に剪定されることが多く、必然的に剪定瘤が出来るわけです。ほかにも、ケヤキやアメリカスズカケノキ(プラタナス)、イチョウなどでも見ることができます。
 剪定された部分の腐朽を防ぐために堅い防御層を形成し、それが膨らんで剪定瘤になると言われています。
 剪定瘤を作らないように剪定することはそれなりの技術を要するため、ついつい同じ場所で切り戻して剪定瘤ができてしまうのですが、なんとなく痛々しくて好きじゃあないなぁ…。


ケヤキ



ケヤキ



サルスベリ



サルスベリ(自然樹形)

2015年1月25日日曜日

1月24日 低温障害のこと

 1月24日に散歩していると、キダチアロエの花を見かけました。近づいてみると、葉が低温障害(凍害?)を起しています。
 キダチアロエはアロエの仲間としては低温耐性が強く、横浜市栄区ではあまり低温障害を起こさないという認識だったのですが…。ご近所様からも「今年は、花月(金のなる木)が、寒さでやられてがっかり…」などの話を聞いています。
 気になったので、帰ってから横浜の旬別日平均気温を調べてみました。1月は上中旬だけですが、例年に比べて特に気温が低いとか、変動が大きいということはありませんでした。そこで12月を調べてみると、以下の通りでした。

      上旬  中旬  下旬
2014年  8.8  6.7   6.9
2013年  10.3   7.9    6.5
2012年  8.0  7.8   5.9
2011年  8.9  8.1   5.6

 2014年12月で特徴的なのは、中旬が非常に寒く、しかも上旬との気温差が激しいこと。2013年も上中旬の気温差は激しいのですが、絶対的な気温は低くありませんね。
 植物は、気温が下がると、細胞内の糖質の濃度を高めたりして、低温に備えます。しかし、温度の低下が急すぎると、この作用が追いつかずに、低温障害を受けることがあります。もちろん、温度だけではなくて、水分や日射量、風の強さなども影響していると思うのですが、今年の植物たちの低温障害は、12月上旬から中旬にかけての急な低温が影響しているのではないかな…などと素人なりに考えてみたりしました(笑)







 下の写真は、クスノキの樹皮で集団越冬する、ヨコヅナサシガメの幼虫です。写真はピンボケですね(笑)
  サシガメは、植物の汁液を吸う一般的なカメムシとは違い、他の虫を捕えて体液を吸う捕食性のカメムシです。うっかり掴んだりすると刺されて痛い思いをすることもあるそうですから、ご用心を!







2015年1月22日木曜日

1月18日 寺社と古木・名木  御霊神社のタブノキ

御霊神社は、鎌倉の大仏で有名な長谷寺から歩いて20分位の場所にある神社です。
平安時代後期のお寺と言われ、学業成就・必勝祈願・眼病治癒などに霊験あらたかとの話。賑やかな江ノ電・長谷駅のそばですが、静かな落ち着いた良い神社です。すぐ前を江ノ電が通り過ぎる素晴らしいシチュエーションで、鉄道ファンにもたまりません(笑)。近くにある「力餅家」さんも渋いです。









境内にある、大きな樹が樹高20m、樹齢400年とも言われるタブノキです。

タブノキ
Machilus thunberugii
クスノキ科タブノキ属の常緑高木
分布:日本(東北~沖縄)
別名:イヌグス、ヤマグス、タマグスなど

ツルッとした樹皮と、ツヤツヤとした葉、広々とした樹幹など、まさに「The常緑広葉樹」の趣のある、神奈川県名木100選のひとつです。
常緑広葉樹の下はなんとなく薄暗い印象があるのですが、南向きの御霊神社の素晴らしいシチュエーションのせいか、比較的に高い位置で枝分かれする樹形のせいか、不思議と開放感のある空間を作ってくれています。
八丈島で有名な黄八丈の色のうち「鳶色」はこの木の樹皮で染められるとのこと。
また、横浜にもゆかりの深い樹種で、横浜開港資料館の中庭にあり、ペリー来航時の記録画にも描かれている「玉楠」はタブノキです。こいつは今でもとても元気です。
さらに横浜開港記念Y150のキャラクターだった、「たねまる」も、タブノキの精という設定だったそうです(笑)




















2015年1月20日火曜日

1月18日 寺社と古木・名木 建長寺のイブキ

信仰の場である寺社には、古木・名木が多く見られます。私の住む横浜市栄区に面した鎌倉市には、ご存じの通り鎌倉時代の寺社が沢山あり、そこには同時に素晴らしい古木・名木があります。「植物歳時記」でも何回もご紹介しましたが、寺社仏閣の写真と共にばちぼちと再紹介します。

建長寺は鎌倉時代・建長5年(1253年)に建立された臨済宗建長寺派の総本山。どこをみても凄いお寺です。でも、実は私が一番好きなのは「釈迦苦行像」。これはパキスタンのラホール中央博物館にある実物のレプリカですが、レプリカ自体が世界に一つしかないパキスタン政府の公認品です。これを初めて見たときの衝撃は凄かったのを、今でもよく覚えております。












そして、いつみても、ゾクっと寒気がするほど凄いのが「建長寺の柏槙(ビャクシン)」
柏槙は標準和名をイブキという針葉樹です。

イブキ
Juniperus chinensis
イブキ科ビャクシン属の常緑針葉樹
原産:中国~日本の本州
別名:柏槙

雌雄異花の高木です。この仲間はナシの赤星病の宿主となるため、ナシの産地では条例で植栽が禁止されていることもあります。こいつの仲間のセイヨウネズの実はジュニパーベリーと言われ、スパイスとして使われ、ジンの香りの元として有名です。

さて、建長寺のイブキです。幹周6.5m、樹高13m、推定樹齢750年。凄まじい風格の古木で、神奈川県の名木百選にも選ばれています。荒々しいイブキ独特の樹皮。広大な樹幹。意外と樹勢が良いように感じるのは、樹木医の先輩方のご尽力のお蔭かもしれません。個人的なことですが、私は特定の宗教を信仰していません。しかし、巨樹を見るたびに寒気を感じるほど心が動き、何か神性を感じます。もしかしたら「八百万の神」を信じているのかもしれません。



























2015年1月18日日曜日

1月18日 霜柱のこと

関東人にはお馴染みの霜柱
これって、意外と他の地域では探すのが困難だったりするって知ってました?
霜柱とは、地表面が氷点下になると、まず地表が凍り、そのあとに毛細管現象で地中から出てきた水分が地表面で順次凍っていき、上部に氷柱が成長していく現象です。
実は、霜柱ができるには、温度条件はもとより、土の粒子の大きさや、土壌の柔らかさなどが影響していて、踏み固められていない関東ローム層は、霜柱ができる条件が揃っているのです。
最近は、関東でも踏み固められていない関東ローム層が表土になっている場所が少なくなり、綺麗な霜柱を見ることが少なくなっていますね。
今回は、鎌倉・建長寺で、久しぶりに美しい霜柱を見たので話題にしてみました。

ちなみに、シソ科の宿根草でシモバシラという植物もあります。関東以南に分布しているようですが、まだ見たことはありません。冬場に枯れた茎の維管束に根から水分が送られて、これが凍って美しい氷柱となるそうです。是非とも見てみたい植物ですね。














2015年1月15日木曜日

1月12日 逆光と植物

冬場は太陽の南中高度が低くなるため、逆光写真をとるチャンスが多くなります。植物写真も同様です。
図鑑的な写真にはなりませんが、類型的ではあるものの、情緒に溢れた美しい写真が撮りやすくなります。また、葉脈の様子などは、レントゲン写真のように逆光の方が良く見えます。
逆光写真を撮りたいときは、太陽の方向に向かって歩いてみましょう。少し注意していれば、逆光に透ける植物が目に入るはずです。次は、バックが暗くなるポジションを探しましょう。対象物が引き立ちます。構図を決めたら、シャッターですが、露出補正があるカメラならば、露出オーバーとアンダーも撮影しておくと良いと思います。私は大体の場合は、アンダー気味にしています。

こんな風にしてシデコブシの蕾を逆光で撮ると




次は同じ蕾を反対側から順光で撮ると



まあ、好みの問題ですが、私は逆光写真の方が好きです。

12日は絶好の逆光写真日和。植物が逆光に輝く写真をアップしておきます。


ギシギシ?



ススキ



クズ



センダングサ



セイタカアワダチソウ



アラカシ?



シダの仲間



シラカシ